更地にする際の注意点|解体前に確認したい税金・費用・売却の判断

古くなった実家を取り壊して更地にすれば、土地として売りやすくなるのではないか。空き家の管理に疲れて、解体業者に見積もりを頼もうとしている方もいるかもしれません。

更地にすることで売却がしやすくなる土地がある一方で、取り壊したあとに固定資産税が上がった、建て直しができない土地だった、と後悔する例もあります。不動産の売却・買取の相談を受けてきた立場から言えるのは、解体は一度行うと元に戻せないため、判断の順番が何より大切だということです。

本記事では、更地にする際の注意点を、解体を決める前の判断から、費用、工事と手続き、売却時の更地渡しまで、尼崎市・伊丹市で不動産の売却を支援するStellaの視点で順を追ってお伝えします。

更地にする前に知っておきたい基本

更地とは、建物や構造物がなく、借地権などの権利も付いていない土地のことです。建物を取り壊しただけでなく、基礎やブロック塀、庭石、樹木なども撤去された状態を指すのが一般的です。

似た言葉に「整地」があります。整地は、解体後の土地を平らにならし、建物を建てたり駐車場にしたりできる状態に整えることです。不動産の取引で「更地渡し」と言った場合に、どこまで撤去し、どこまで整地するかは契約ごとに異なるため、後の章で説明するように範囲を決めておく必要があります。

更地にする際の主な注意点

更地にする前に確認したい注意点は、税金、建築の可否、売却の見通し、費用の4つに整理できます。

注意点起こりうること事前に確認すること
固定資産税が上がる住宅用地の特例が外れ、土地の税額が上がる解体する時期と、1月1日時点の状態
建て直しができない土地がある再建築不可の土地では、更地にすると建物を建てられない敷地が建築基準法上の道路に2m以上接しているか
売却が早まるとは限らない建物付きのほうが買主を見つけやすい場合もある査定で建物付きと更地の両方の見通しを比べる
解体費が想定より増える地中埋設物やアスベストで追加費用が出る見積もりの範囲と追加費用の条件

固定資産税が上がる

住宅が建っている土地には、固定資産税と都市計画税を軽減する「住宅用地の特例」が適用されています。更地にするとこの特例が外れるため、土地の税額が上がります。

区分固定資産税の課税標準都市計画税の課税標準
小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡以下の部分)評価額の6分の1評価額の3分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分)評価額の3分の1評価額の3分の2

更地になると、こうした軽減がなくなります。実際の税額は負担調整措置などで計算されるため、単純に6倍になるとは限りませんが、税額が数倍に増えることは珍しくありません。

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地の状態で課税されます。年内に解体して更地のまま1月1日を迎えると、その年の税額から特例が外れるため、解体の時期は売却の見通しとあわせて決めることが大切です。たとえば、年明けに売買契約を結び、引き渡し前に解体する段取りにすれば、特例が外れた状態での課税を避けられる場合があります。

建て直しができない土地がある

建物を建てるには、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります。この接道義務を満たさない土地では、今の建物を取り壊すと新しい建物を建てられません。こうした物件を再建築不可物件といいます。

再建築不可の土地を更地にすると、住宅を建てたい買主が購入できなくなり、売却の選択肢が大きく狭まります。解体を決める前に、市役所の建築指導を担当する窓口などで、敷地の前の道が建築基準法上の道路かどうかを確認してください。

売却が早まるとは限らない

更地は、買主が建物の状態を気にせず、新築の計画を立てやすいという利点があります。一方で、建物付きの物件を、リフォームして住む前提で探している買主もいます。建物を残しておけば、買主が解体するか使うかを選べるため、買主の幅が広がることもあります。

また、買主が住宅ローンを使って新築する場合、土地の購入代金に建物の建築費を合わせて融資を受ける流れになります。売れる前に解体して更地にしても、すぐに買主が見つかるとは限りません。

解体費が想定より増える

解体工事を始めてから、地中に古い基礎やコンクリートがら、浄化槽、井戸などが見つかると、撤去の追加費用がかかります。建材にアスベストが含まれていた場合も、除去の費用が上乗せされます。見積もりの段階で、追加費用がどのような場合に発生し、どう決めるのかを確認しておきましょう。

更地にするか判断する基準

更地にするかどうかは、建物の状態、土地の条件、売却の見通しの3つを合わせて判断します。

判断の材料更地を検討しやすい場合建物を残すほうがよい場合
建物の状態倒壊や部材の落下の危険がある修繕すれば住める、使える
土地の条件接道義務を満たし、建て替えができる再建築不可、または建て替えの可否が不明
売却の見通し新築用地の需要が高い地域で、買主の候補がいる売却時期が決まっていない、買主が未定
費用解体費を売却価格に見合う形で回収できる解体費を用意するのが難しい

判断に迷う場合は、建物付きのまま売り出し、条件によって売主が解体して引き渡す「更地渡し」にも対応できるようにしておく方法があります。この方法であれば、買主が決まる前に解体費や固定資産税の負担を先に抱えずに済みます。

更地にする費用の目安と変動要因

更地にする費用は、建物本体の解体費、付帯工事費、廃材の処分費、整地費で構成されます。金額は建物の構造と延べ面積で大きく変わり、同じ広さでも木造より鉄骨造、鉄骨造より鉄筋コンクリート造のほうが高くなる傾向があります。

費用内容金額が変わる要因
建物の解体費建物本体と基礎の取り壊し構造、延べ面積、階数
付帯工事費ブロック塀、庭木、庭石、カーポート、物置などの撤去撤去する物の量
廃材の処分費木くずやコンクリートがらなどの運搬・処分廃材の量と分別のしやすさ
整地費解体後の土地を平らにならす仕上げの程度(砕石敷きなど)
その他アスベストの調査・除去、地中埋設物の撤去、家財の処分建築年代、地中の状況、残置物の量

前面道路が狭く重機が入れない、隣家との距離が近いといった条件では、手作業が増えて費用と工期が延びます。古くからの住宅地のように道幅の狭い場所では、重機の大きさや廃材の搬出方法によって見積もりに差が出ることがあります。

費用を抑えるために確認したいこと

解体費を抑えるには、次の点を確認しておくと効果があります。

  • 複数の解体業者から見積もりを取り、工事の範囲と追加費用の条件をそろえて比べる
  • 家財や不用品は、工事の前に自分で処分できる範囲を処分しておく
  • 自治体の空き家の解体に関する補助制度の有無を、工事の契約前に確認する
  • 建物付きでの売却や買取も比べ、解体そのものが必要かを確かめる

見積もり額だけで業者を選ぶと、廃材の処分や近隣対応の範囲が含まれておらず、あとから費用が増えることがあります。補助制度は、着工前の申請が条件になっているものが多い点にも注意が必要です。

更地にするまでの流れと必要な手続き

解体工事には、工事の前後で行う手続きがあります。主な流れは次のとおりです。

  1. 解体業者の選定と契約:現地調査を受け、見積もりの範囲を確認して契約します。
  2. アスベストの事前調査:解体工事では、建材にアスベストが含まれているかの事前調査が義務付けられており、一定規模以上の工事では結果の報告が必要です。
  3. 建設リサイクル法の届出:床面積の合計が80㎡以上の建物を解体する場合、工事着手の7日前までに届出が必要です。通常は業者が手続きを代行します。
  4. ライフラインの停止:電気・ガス・電話などの停止や撤去を依頼します。水道は工事中の散水に使うことがあるため、業者と相談して止める時期を決めます。
  5. 近隣へのあいさつ:工事の期間、作業時間、騒音や車両の出入りについて、着工前に説明しておきます。
  6. 解体工事と整地:工事後は、境界標が残っているか、地中の撤去がどこまで行われたかを確認します。
  7. 建物滅失登記:建物を取り壊した日から1か月以内に、法務局へ建物の滅失登記を申請します。

建物滅失登記は、建物がなくなったことを登記簿に反映する手続きです。申請しないと、存在しない建物に固定資産税がかかり続けたり、土地を売るときに手続きが進まなかったりします。自分で申請することもでき、土地家屋調査士に依頼する場合は報酬がかかります。

工事の前には、隣地との境界標の位置を確認し、写真で記録しておくことも大切です。工事中に境界標が動いたり失われたりすると、売却のときに境界の確認がやり直しになります。

売却で「更地渡し」にする際の注意点

更地渡しとは、建物付きで売買契約を結び、引き渡しまでに売主が建物を解体して更地で引き渡す方法です。買主にとっては購入前に更地の状態を確認できない取引になるため、契約で決めておくことが多くなります。

決めておくこと内容
解体費の負担売主負担が一般的だが、売買価格に含めるかを明確にする
撤去の範囲基礎、ブロック塀、樹木、地中埋設物をどこまで撤去するか
解体の時期買主の住宅ローンの承認後に着工するなど、契約が白紙になった場合に備える
地中埋設物が見つかった場合追加費用の負担者と、引き渡し後に見つかった場合の扱い
境界と測量境界標の確認や確定測量を誰がいつ行うか

売買契約のあとに解体を始め、買主の住宅ローンが通らずに契約が解除されると、売主の手元には解体費を払った更地だけが残ります。解体の着工は、買主のローン承認などで契約の見通しが立ってからにするのが基本です。

引き渡し後に、地中から古い基礎や廃材が見つかった場合、売主が契約不適合責任(契約の内容に合わないものを引き渡した責任)を問われることがあります。分かっている埋設物は契約前に伝え、責任を負う範囲と期間を契約書で定めておきましょう。

古家付き土地として売る選択肢

建物を残したまま「古家付き土地」として売り出す方法は、更地にする前に一度検討しておきたい選択肢です。古家付き土地とは、建物の価値をほとんど見込まず、土地として価格を付けて売り出す物件のことです。

古家付き土地として売る場合、売主は解体費を先に負担する必要がなく、住宅用地の特例も売却まで続きます。買主は、建物をリフォームして住むか、解体して新築するかを自分で選べます。解体する場合の費用は、買主が見込んで価格交渉をするのが一般的です。

注意したいのは、建物の不具合に関する責任です。古い建物には雨漏りやシロアリ、配管の劣化などがあることも多く、売主が知っている不具合は契約前に買主へ伝える必要があります。建物の状態について責任を負わない特約を結ぶ場合も、知っていて伝えなかった不具合には責任が残ります。建物の状態が分からない場合は、売り出す前に点検を受けておくと、説明もしやすくなります。

更地にする場合に関わる税金の特例

家を取り壊して土地を売る場合でも、条件を満たせば税金の特例を使えます。ただし、解体の時期や解体後の使い方によっては対象外になるため、解体の前に確認しておくことが欠かせません。

  • マイホームの3,000万円特別控除:取り壊した日から1年以内に土地の売買契約を結び、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売ること。取り壊したあと、土地を貸駐車場などに使っていないこと
  • 相続空き家の3,000万円特別控除:1981年5月31日以前に建築された家屋を取り壊して土地を売る場合などが対象。相続開始から3年を経過する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日までの売却などの要件がある

解体後に月極駐車場として貸してしまい、特例の対象から外れる例があります。売却までの間、更地をどう使うかも含めて計画を立てましょう。特例の適用可否は、税理士や税務署に確認してください。

尼崎市・伊丹市で更地にするか迷ったらStellaへご相談ください

Stella 株式会社は、尼崎市・伊丹市を中心に不動産の買取・仲介・売買を行っている不動産会社です。古い家が建っている土地の売却では、建物付きで売るか、更地渡しにするか、買取を選ぶかによって、手取り額も売却までの期間も変わります。売却の時期やご希望の条件を伺ったうえで、それぞれの見通しをご案内しています。

Stellaは親会社である株式会社小畑工務店と連携しており、解体を前提にせず、建物を修繕して活用する可能性も含めた相談ができます。古い家や傷んだ家についても、修繕して販売することを前提に買取を検討できます。実際に買い取れるかどうかや条件は、現地を確認したうえで物件ごとにご案内します。

再建築の可否や特例の要件など、行政や税理士への確認が必要な内容は、必要に応じて専門家への相談もご案内します。

更地にする際の注意点に関するよくある質問

更地にすると固定資産税はどれくらい上がりますか?

住宅用地の特例が外れるため、土地の税額は上がります。特例の軽減幅は小規模住宅用地で評価額の6分の1ですが、負担調整措置などがあるため、実際の上がり幅は土地ごとに異なります。市役所で、更地になった場合の税額の目安を確認できることもあります。

解体したあと、何もしなくてよいですか?

建物を取り壊した日から1か月以内に、建物滅失登記を申請する必要があります。あわせて、更地の雑草や不法投棄の対策など、売却までの管理も続けてください。

解体費用を売却代金から支払うことはできますか?

更地渡しの場合、売買契約のあとに解体し、引き渡しのときに受け取る代金で解体費を精算する段取りにできることがあります。解体業者への支払い時期と合うかを事前に確認しましょう。買取であれば、建物付きのまま引き渡せる場合もあります。

建物を取り壊した解体費は、税金の計算で差し引けますか?

土地を売るために建物を取り壊した場合の解体費は、譲渡費用として譲渡所得から差し引けます。売却とは関係なく取り壊した場合は対象外になることがあるため、領収書を保管し、申告の際に税理士や税務署に確認してください。

まとめ

更地にする際の注意点は、固定資産税が上がること、再建築不可の土地では建て直しができないこと、更地にしても売却が早まるとは限らないこと、解体費が想定より増える場合があることの4つです。解体は元に戻せないため、査定で建物付きと更地の両方の見通しを比べてから判断しましょう。

尼崎市・伊丹市で不動産の売却を支援してきたStellaとしてお伝えしたいのは、解体の時期を売却の段取りに合わせて決めることの大切さです。買主が決まってから解体する進め方なら、税金と費用の負担を先に抱えずに済みます。

Stella 株式会社へのご相談

古家付きの土地を更地にするかどうか、建物付きでの売却や買取とどちらが合うかなど、状況を伺いながら一緒に整理します。まだ方針が決まっていない段階でもお問い合わせいただけます。

土地と建物の売却を相談する(問い合わせフォーム)

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