「所有権移転登記は司法書士に払う費用だから、数万円で済むはず」。不動産の売買や相続で名義を変えるときに、登記の費用は手続きの手数料のようなものだと考える方は多いはずです。見積もりの「報酬」の欄だけを見て、全体の金額を判断してしまうこともあります。
しかし、尼崎市・伊丹市で不動産の売却と購入を支援してきたStellaの立場から言えるのは、所有権移転登記の費用の大部分は司法書士の報酬ではなく、国に納める登録免許税だということです。登録免許税は、名義を変える理由が売買か相続か贈与かで税率が5倍も違い、軽減措置を使えるかどうかでも金額が大きく変わります。
本記事では、所有権移転登記の費用を、登録免許税の計算方法から、司法書士報酬と実費の目安、売買・相続・贈与ごとの計算例、売主と買主の負担の分け方、費用を抑える方法まで、不動産会社の視点で順を追ってお伝えします。
所有権移転登記の費用の内訳
所有権移転登記の費用は、登録免許税、司法書士報酬、書類の取得などの実費の3つで構成されます。
| 費用 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 登記を申請するときに国に納める税金 | 固定資産税評価額×税率(0.3〜2%) |
| 司法書士報酬 | 書類の作成と申請を依頼する報酬 | 数万円〜10万円程度(内容で変わる) |
| 実費 | 登記事項証明書、評価証明書、戸籍などの取得費用 | 数千円〜数万円 |
所有権移転登記は、不動産の名義を前の所有者から新しい所有者に移す登記です。登記をしておかないと、第三者に「自分の不動産だ」と主張できず、売却や住宅ローンの担保に使うこともできません。
所有権移転登記の登録免許税
登録免許税は、不動産の固定資産税評価額に、名義を変える理由ごとの税率を掛けて計算します。
登録免許税 = 固定資産税評価額(1,000円未満切り捨て)× 税率
税額の100円未満は切り捨て
固定資産税評価額は、毎年届く固定資産税の納税通知書の課税明細書か、市区町村で取得する固定資産評価証明書で確認します。売買の価格ではなく評価額を使うため、同じ価格で取引しても、評価額によって税額は変わります。
登録免許税の税率
所有権移転登記の登録免許税の税率は、売買、相続、贈与などの登記の原因で決まります。
| 登記の原因 | 本則の税率 | 軽減後の税率 |
|---|---|---|
| 売買(土地) | 2% | 1.5%(2029年3月31日まで) |
| 売買(住宅用の建物) | 2% | 0.3%(2027年3月31日まで) |
| 相続 | 0.4% | 一定の土地は免税 |
| 贈与・財産分与 | 2% | なし |
相続の登録免許税は、売買や贈与の5分の1です。贈与や離婚の財産分与で名義を変える場合は、軽減措置がなく、2%の税率がそのまま適用されます。
軽減措置を使う条件
住宅用の建物の軽減税率0.3%は、個人が自分で住むために取得した、床面積50㎡以上の住宅に使えます。中古住宅の場合は、1982年1月1日以降に建築されたものか、耐震基準に適合していることを証明できるものが対象です。取得してから1年以内に登記を申請し、市区町村が発行する住宅用家屋証明書を添付する必要があります。
とりわけ見落とされがちなのが、築年数の古い中古住宅では、住宅用家屋の軽減を使えるかどうかで建物の税額が6倍以上変わる点です。1981年以前に建てられた住宅は、耐震基準適合証明書などがなければ2%の税率になります。購入を決める前に、不動産会社に軽減の対象になるかを確かめておきましょう。
相続の登記には、2027年3月31日までの免税措置があります。不動産の価額が100万円以下の土地を相続した場合や、相続登記をしないまま亡くなった人の名義で残っている土地を登記する場合は、登録免許税がかかりません。
所有権移転登記の司法書士報酬と実費
司法書士報酬は、自由に設定できる報酬で、登記の種類や不動産の数、書類の準備をどこまで任せるかで変わります。
| 登記の種類 | 報酬の目安 | 金額が変わる要因 |
|---|---|---|
| 売買による移転 | 数万円〜10万円程度 | 不動産の数、住宅ローンの抵当権設定を同時に頼むか |
| 相続による移転 | 数万円〜10万円以上 | 相続人の数、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成を任せるか |
| 贈与による移転 | 数万円〜10万円程度 | 贈与契約書の作成を任せるか |
相続の登記は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集める作業があり、相続人が多い場合や、転籍を繰り返していた場合は報酬が高くなります。報酬は事務所ごとに違うため、見積もりで報酬と実費、登録免許税が分けて書かれているかを確認しましょう。
実費には、登記事項証明書や固定資産評価証明書、戸籍謄本、住民票、印鑑証明書の取得費用、郵送費などがあります。1通あたりは数百円ほどですが、相続で戸籍を何通も集める場合は数千円から1万円を超えることもあります。
所有権移転登記の費用の計算例
所有権移転登記の費用は、登記の原因によって大きく変わります。土地の固定資産税評価額が1,500万円、建物の評価額が500万円の一戸建ての場合で比べると、登録免許税は次のとおりです。
| 登記の原因 | 土地 | 建物 | 登録免許税の合計 |
|---|---|---|---|
| 売買(住宅用家屋の軽減あり) | 1,500万円×1.5%=22.5万円 | 500万円×0.3%=1.5万円 | 24万円 |
| 売買(住宅用家屋の軽減なし) | 1,500万円×1.5%=22.5万円 | 500万円×2%=10万円 | 32.5万円 |
| 相続 | 1,500万円×0.4%=6万円 | 500万円×0.4%=2万円 | 8万円 |
| 贈与 | 1,500万円×2%=30万円 | 500万円×2%=10万円 | 40万円 |
この登録免許税に、司法書士報酬と実費が加わります。贈与の場合は、登録免許税のほかに贈与税がかかり、売買や贈与で取得した買主や受贈者には、登記とは別に不動産取得税もかかります。相続による取得には不動産取得税はかかりません。
計算例は仕組みを示すための仮の数字で、実際の税額は評価額と、軽減措置を使えるかどうかで変わります。
売買の所有権移転登記の費用は誰が払うか
売買による所有権移転登記の費用は、買主が負担するのが一般的です。所有権を取得して利益を受けるのが買主だからで、法律で決まっているわけではなく、売買契約で取り決めます。
売主が負担するのは、売る不動産に関する登記の費用です。
- 抵当権抹消登記:住宅ローンを完済して抵当権を消す登記。不動産1個につき1,000円と司法書士報酬
- 住所変更登記:登記簿の住所が今の住所と違う場合の登記。不動産1個につき1,000円と司法書士報酬
- 相続登記:亡くなった親の名義のまま売る場合、先に相続人への名義変更が必要
売買の決済の日には、売主の抵当権抹消と住所変更、買主への所有権移転、買主の住宅ローンの抵当権設定を、司法書士がまとめて同じ日に申請するのが一般的です。売主と買主はそれぞれ、自分の負担分の費用を司法書士に払います。
親から相続した家を売る場合は、売買の契約までに相続登記を済ませておく必要があります。2024年4月1日から相続登記は義務になり、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象になります。
所有権移転登記の費用を抑える方法
所有権移転登記の費用のうち、登録免許税は軽減措置の要件を満たすことで、司法書士報酬は依頼の範囲を見直すことで抑えられます。
軽減措置の要件を確かめる
登録免許税は、軽減措置を使えるかどうかで最も大きく変わります。中古住宅を買う場合は、建築年と耐震基準適合証明書の有無、床面積を確認し、住宅用家屋証明書を取得できるかを購入前に確かめます。登記を申請した後に軽減の書類を出しても、税率は戻りません。
相続の場合は、100万円以下の土地の免税措置に当てはまる土地がないかを、固定資産税の課税明細書で確認します。
自分で登記を申請する
相続や贈与の登記は、司法書士に依頼せず自分で法務局に申請することもでき、その場合は報酬がかかりません。法務局の相談窓口で、申請書の書き方を確認しながら進められます。
ただし、売買の登記は、代金の支払いと同時に間違いなく名義を移す必要があるため、司法書士に依頼するのが一般的です。住宅ローンを使う場合は、金融機関が司法書士の関与を求めます。相続でも、相続人が多い、古い戸籍が読みにくいといった場合は、書類の不備で申請をやり直す手間を考えると、依頼した方が早く済むこともあります。
見積もりを比べる
司法書士報酬は事務所ごとに違うため、複数の事務所から見積もりを取って比べられます。比べるときは、報酬の額だけでなく、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成など、どこまでの作業が含まれているかをそろえて比べましょう。
所有権移転登記と不動産の売却・購入はStellaにご相談ください
Stella 株式会社は、尼崎市・伊丹市を中心に不動産の買取・仲介・売買を行っている不動産会社です。不動産の売却や購入では、登記の費用を含めた諸費用の見通しを、売買の契約の前にご説明しています。
相続した家を売る場合は、相続登記の段階から売却までの流れを一緒に整理し、必要に応じて司法書士をご案内します。中古住宅の購入では、住宅用家屋の軽減措置を使えるかの確認とあわせて、親会社の株式会社小畑工務店と連携し、購入前に修繕の必要性や、物件価格と工事費を合わせた総予算も相談いただけます。登記や税金の具体的な手続きは、司法書士や税理士への相談もご案内します。
相続登記がまだの家の売却や、中古住宅の購入にかかる諸費用の見通しなど、登記の費用を含めて一緒に整理します。
所有権移転登記の費用に関するよくある質問
所有権移転登記は自分でできる?
所有権移転登記は、自分で法務局に申請できます。相続や贈与の登記を自分で申請する方もいます。売買の登記は、代金の支払いと名義の移転を同時に行う必要があるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
所有権移転登記の費用はいつ払う?
売買の所有権移転登記の費用は、決済と引き渡しの日に司法書士に払うのが一般的です。登録免許税は登記の申請時に納めるため、司法書士が預かって代わりに納付します。相続の登記は、司法書士に依頼した時点か、申請の前後に払います。
夫婦間で家の名義を変えると費用はいくら?
夫婦間の名義変更は、贈与か財産分与にあたるため、登録免許税は固定資産税評価額の2%です。贈与の場合は贈与税もかかりますが、婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する場合は、2,000万円まで贈与税がかからない配偶者控除があります。
所有権移転登記をしないとどうなる?
所有権移転登記をしないと、第三者に所有権を主張できず、売却や住宅ローンの担保に使えません。相続の場合は、2024年4月から相続登記が義務になり、正当な理由なく3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になります。
まとめ|所有権移転登記の費用は登記の原因で決まる
所有権移転登記の費用は、登録免許税、司法書士報酬、実費の3つで、大部分を占めるのは登録免許税です。登録免許税は固定資産税評価額に税率を掛けて計算し、税率は相続が0.4%、贈与が2%、売買の土地が1.5%、住宅用の建物が0.3%と、登記の原因と軽減措置で大きく変わります。
尼崎市・伊丹市で不動産の売却と購入を支援してきたStellaとしてお伝えしたいのは、登記の費用は契約の前に見込んでおくことの大切さです。軽減措置を使えるか、売主と買主のどちらが負担するかを先に確かめておけば、決済の日に慌てずに済みます。
Stella 株式会社へのご相談
登記の費用を含めた売却や購入の諸費用、相続登記が済んでいない不動産の売り方など、状況を伺いながら一緒に整理します。まだ売るかどうかを決めていない段階でもお問い合わせいただけます。
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